「臨床活動を続ける一方、看護における精神面のケアの専門性を探求」

金子眞理子さん(1期生):日本医科大学病院看護部リエゾン看護師 臨床活動を続ける一方、看護における精神面のケアの専門性を探求していきたい   健康マネジメント研究科(以下、健マネ)に入学しようと思ったきっかけは? 私はもともと、研究が好きで、大学院の博士課程を修了したときには、大学の教員の道を選択しました。最初の数年間は、充実していたのですが、その後の研究の中身がだんだん、臨床から離れていっている事を実感しました。私が看護師として最初に勤務した聖路加国際病院には、今から十数年前、海外で学ばれた後、リエゾン看護師として患者、看護師のメンタルケアを専門にする看護師が活躍されていました。新人だった私は看護のメンタルケアにおける専門性について限界を感じていたこともあり、リエゾン看護師になることは長年の夢でした。健マネでは、先駆者のひとりでおられる野末聖香先生が大学院をたちあげることを伺い、入学しようと思いました。   健マネでの2年間を振り返ると? 今になって振り返ると、ぜいたくで楽しい2年間でした。長年学びたいと思っていた「リエゾン精神看護学」を学び、研究にも思う存分取り組む機会が得られたことは、本当に幸せでした。課題研究論文のテーマは「精神専門看護介入法の作成と評価―炎症性腸疾患を抱える人々のリラクセーション・認知行動療法」。リラクセーションや認知行動療法は、現在の看護活動にもとりいれています。大学院で出会った友人はさまざまな分野で経験を持っていて、課題に共に取り組んだ思い出は宝物です。   現在の取り組んでいることは? 日々の臨床の中では看護師からの相談に対して、精神看護の専門家として知識や技術を提供し、看護の質の向上や看護師の成長を支援する活動を行っています。例えば、一般病棟で理解・対応しがたい心理的問題をもつケースに対して、患者理解の視点やケアプラン、方法のアドバイス、薬物療法の必要性を含めた精神状態の査定を行い、必要時、精神科医師と連携をとります。その他、心理的に危機状態にある患者さんやご家族に支持的面接を行い精神面の安寧をはかったり、抑うつ、不安をもつ患者さんに心身の緊張を緩和するためにリラクセーション法を行ったり、ストレスマネジメントの予防的介入として精神療法の1つである認知行動療法を導入したケアを行っています。 その他、患者さんに必要な環境の調整や倫理的問題をもつケースについて、医療チームに働きかけを行ったり、看護師の継続教育、研究の支援も行っています。 研究活動としては、現在4つの研究に取り組んでいます。リエゾン看護師の介入の効果を評価するため、介入前後で精神症状評価をはじめとした客観的評定を行うもの、がん化学療法を行っている方に対して、がん専門・認定看護師とリエゾン看護師が協働することによる生活・メンタル支援プログラムの開発、緩和ケアチームにおけるリエゾン看護師の役割と課題、終末期の鎮静に関するケアガイドラインの開発などです。   今後の目標は? リエゾン看護師として臨床活動を続ける一方、看護における精神面のケアの専門性を研究者としても探求していきたいと考えています。効果的なケアのデザインや介入法を考案・提案し、日々の臨床にいかしていくと共に、看護の学問としての発展にもかかわり、社会に貢献していきたいと考えています。 *リエゾン看護師とは、精神看護専門看護師のサブスペシャリティの1つに位置づけられており、身体疾患をもちながら複雑で対応困難な問題を抱えているケース、理解しがたい反応をとられる方やそのご家族に対して、精神看護学の知識や技術を用いて問題解決を支援したり、精神面の支援をしたりします。具体的には、支持的面接をはじめとしてリエゾン看護師自身が患者・家族に看護実践を行い、ケアを担っている看護師の相談を受けケアの方向性や具体策についてアドバイスを行う他、医療チームにおける調整、倫理的な問題が生じた場合の倫理調整、看護師の教育や研究支援、看護師自身のメンタルヘルス支援も行います。   ps0203PROFILE  金子眞理子さん(看護学専修精神看護学専攻1期生:07年3月修了) 日本医科大学付属病院  看護部 リエゾン看護師 福岡国立病院附属看護学校卒業後、聖路加国際病院に就職。病院に勤務しながら、青山学院大第2文学部教育学部心理学専攻卒業。聖路加を退職後、青山学院大学大学院博士前期課程文学部心理学専攻修了。聖路加大学大学院博士後期課程修了。博士(看護学)。東京女子医科大学、同大学院専任講師を経て健康マネジメント研究科に入学。現在は、日本医科大学病院看護部リエゾン看護師として活動している。   取材: 吉岡かおり(看護学専修・2期生) 高村恵太(スポーツマネジメント専修・2期生